健康な頭皮って? 頭皮と髪の毛の関係
何歳になっても髪の毛はフサフサ、
ハリやコシがあることを望む方は多いと思います。
しかしストレスフルな現代においては、
遺伝や他の様々な要因が重なり、
薄毛や脱毛が起きやすくなっているといえるのです。
髪の状態を良くするために、まず大切なのは頭皮の健康ですが、
頭皮の環境が良いということは一体どのような状態なのでしょうか。
そして発毛や育毛とどんな関係があるのか、
今回は、そんな頭皮と髪の関わりについてお伝えしていきます。
<目次>
ご自分の頭皮を見たことがありますか?
髪で覆われている頭皮を、
改めてまじまじ見ることは少ないかもしれませんが、
一度、ちゃんとチェックをしてみましょう。
皮脂と水分のバランスが取れ、
適度に潤っている健康な頭皮からは、
ハリやコシがある、丈夫な髪が生えやすくなります。
そしてご自分の頭皮が健康かどうかは、
頭皮の色でも知ることができます。
健康な頭皮の場合、透明感のある青みがかった白色をしていて、
このような頭皮では一つの毛穴から3、4本の髪が生え、
毛穴に皮脂が詰まっていることもありません。
頭皮と髪の毛の関係
薄毛や抜け毛には、頭皮の血行や毛穴に詰まった
皮脂、地肌の乾燥も関わってきます。
生活習慣の乱れからも髪が細く弱々しくなり、
抜け毛が増える可能性が高くなります。
では頭皮と髪は一体どういったメカニズムが働いているのでしょうか。
髪の毛が生えるメカニズム
毛髪は、頭皮から出ている“毛幹”という部分と、
頭皮の下にある“毛根”と呼ばれる部分で成り立っています。
髪が伸びるのはこの毛根の働きにあたります。
毛根の根元にあるたまねぎ状の「毛球」で髪の元は作られます。
具体的には、毛球にある「毛乳頭」が、
血液からの栄養分を毛母細胞に補給します。
分裂し増殖した毛母細胞が頭皮に向かって押し上げられ、
その過程で細胞が水分を失い髪の毛になるのです。
頭皮の髪への働きは?
では頭皮は、髪に関してどのような働きをしているのでしょう。
基本的に頭皮はお肌と同じ構造を持ち、
約4~6週間の周期(ターンオーバー)で
皮膚が生まれ変わっています。
ただ頭皮を取り巻く環境は少し独特で、
1cm²あたりに約150本もの髪の毛が生え、
しかも皮脂や汗の分泌量は、
おでこや鼻の約2~3倍とかなり多めです。
こうした頭皮の働きは、
紫外線や大気汚染物質などの外的刺激や、
乾燥などを防ぐための角質層を作ることにあります。
つまり皮膚のバリア機能を果たしているわけです。
頭皮のターンオーバーが乱れると、
不完全な角質層しか作れずバリア機能が低下し、
外的刺激が内部へと侵入して発毛機能で
ダメージが進行します。
健康な頭皮とはどんな状態?
健康な頭皮というのは、余分な皮脂や老廃物、
大気の汚れや酸化したスタイリング剤などが
付着していない頭皮のことをいいます。
古い角質や老廃物が毛穴に溜まることがなければ、
ニキビや炎症、雑菌が繁殖することもなく、
雑菌が原因で起こる抜け毛を防ぐこともできるのです。
さらに地肌の血行が良く、
皮脂量と水分のバランスが取れて、
乾燥などの頭皮トラブルのない、
このような頭皮が健康な状態といえます。
健康な頭皮に必要なもの
髪の量に関わる頭皮に必要な成分や栄養素は、
何があるのかをご紹介します。
毎日の食事で意識して摂っていきたいですね。
髪に有効な成分と栄養素
頭皮のために摂取したいのは、
「タンパク質=アミノ酸」
「亜鉛」
「ビタミン」
の3つです。
髪の毛は、18種類のアミノ酸が
結合して作られるケラチンが主成分です。
アミノ酸を含む肉や魚、卵などの
動物性タンパク質や穀類や
豆類などの植物性タンパク質は
欠かさず摂りましょう。
次にこのアミノ酸の結合を手伝うのが「亜鉛」です。
亜鉛の支えで髪の成分ケラチンができ、
また抜け毛の原因の「5αリダクターゼ酵素」を
抑える作用もあります。
亜鉛を含むのは、牡蠣、パルメザンチーズ、
豚レバー、牛肩ロース、スルメ、ココア、
抹茶、ゴマなどです。
そして亜鉛が体内に吸収されるのを
助けるのが、「ビタミン」です。
柑橘類、パイナップル、ほうれん草、
じゃがいも、ブロッコリー、
キャベツなどに含まれるビタミンCは、
血管を丈夫にし、抗ストレスホルモンの分泌を促します。
納豆、アーモンド、にんにく、
モロヘイヤに含まれるビタミンB2やB6は、
細胞の代謝を活性する効果があります。
これら3つの栄養が頭皮に届いていれば、
毛母細胞の分裂も促され、
皮脂量もコントロールして、
丈夫な髪の毛の成長が期待できるでしょう。
生活環境も髪に影響する!
頭皮環境を整えるために
生活習慣で大事にすべきことは、
ストレスを溜めない状態を作ることです。
ゆっくり入浴し、十分な睡眠を取り、
運動と栄養バランスのとれた食事を心がけ、
過度な飲酒とたばこは控えることなど、
日常生活を改善することも重要です。
また頭皮や髪を傷めないような正しい洗髪を心がけ、
頭皮や髪に刺激の強すぎるヘアケア剤を
使わないことなどにも気をつけましょう。
健康な頭皮にするために
髪の量や髪の質は、
遺伝によるものが大きいため、
「親が薄毛だから自分も薄毛になるに違いない」、
また反対に「親が薄毛でないから自分は心配ない」
と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら薄毛の要因は、
年々複雑になってきており、
その現れ方も千差万別。
発症する時期の若年化も進んできています。
遺伝や年齢を問わず、
生活習慣によっても薄毛は進行していきますので、
今ある髪の状況にかかわらず、
頭皮ケアは早めに始めることをおすすめします。
- 監修
大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、 角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。