頭皮に湿疹? 原因を知って適切な対処法を!
「頭の腫れものが気になる」
「地肌がかゆくてたまらない!」
「フケが出て困る…」
そういったお悩みを抱えている方は、
たくさんいらっしゃいます。
こうした頭の地肌にできた
腫れ物や赤み、炎症、
痛み、かゆみなどの症状は、
湿疹によって起こります。
場合によっては皮膚がむけたり、
抜け毛の原因になったりする
恐れもあるため、
適切な治療が必要です。
正しく対処することで、
少しでも早く症状を改善させましょう。
<目次>
頭皮湿疹とはどんな状態?
湿疹とは、かゆみや赤い腫れ、
膿が溜まったでき物などの症状をいいます。
頭の地肌にできる湿疹には、
原因によって様々な種類があり、
症状も異なってきます。
なぜ頭皮に湿疹ができるのか?
考えられる原因には、
乾燥や過剰な皮脂のほか、
シャンプー&トリートメントや整髪剤、
紫外線や花粉、塵、ハウスダスト、
カビなどがあります。
このように様々な要因から発症する
湿疹は症状も異なります。
典型的なものを次にご紹介しますので、
ご自身の湿疹がどれに当てはまるのか
チェックしてみましょう。
頭皮の皮膚トラブル! 頭皮湿疹
頭皮湿疹として
典型的な5つの症状をご紹介します。
「接触性皮膚炎」
接触性皮膚炎は、
かぶれによって起こる症状です。
シャンプー、トリートメント、
スタイリング剤、金属が
皮膚に接触することや、
髪を触るなどの摩擦によって、
頭皮がかぶれ、湿疹が起こります。
強い刺激であればあるほど、
炎症もひどくなり、
水疱やぶつぶつ、
赤みなどが深刻化します。
「脂漏(しろう)性湿疹」
脂漏性湿疹は、
皮脂が過剰になることで、
常在菌としてある
マラセチア菌が一斉に増殖して
引き起こされます。
頭皮のほかに皮脂分泌が
多い額のはえぎわ、眉毛などに
できるカサついた湿疹です。
フケが出て赤くなり、
かゆくなることもあります。
この細菌は、
頭皮の皮脂や古い角質をエサに
増えていき抜け毛の原因になるため、
早めの治療が大切です。
乾燥によって皮脂が過剰分泌したり、
髪を清潔に保っていなかったり
するとなりやすくなります。
「乾燥性皮膚炎」
(皮脂欠乏性皮膚炎)
間違ったお手入れや、
不規則な生活などの
ストレスでも皮脂の分泌が
減少してしまいます。
頭皮に適度な皮脂がないと、
皮膚からは水分が逃げて乾燥が進み、
バリア機能が失われ、
頭皮環境が悪くなります。
こうして水分が失われた皮膚は、
少しの刺激にも反応して
炎症を起こすようになります。
そうした乾燥が原因で起きた湿疹を、
皮脂欠乏性皮膚炎ともいいます。
「アトピー性皮膚炎」
アトピー性皮膚炎は、
紫外線による刺激や乾燥で
肌のバリア機能が低下し、
花粉や塵などが頭皮の奥まで侵入し
炎症が起こるとされています。
またダニやカビ、汗や皮脂汚れが
黄色ブドウ球菌などの細菌と結びつき、
赤みやぶつぶつ、かゆみが出るのも
アトピー性皮膚炎にあたり、
慢性化するのが特徴です。
「膿痂疹(のうかしん)」
膿痂疹は、
頭皮の汚れや外部の汚染物質により、
頭皮環境が悪化し
黄色ブドウ球菌などが
繁殖することで起こります。
皮膚に水疱ができ、
それが化膿して破れ、
かさぶたが形成され、
かゆみを強く伴う湿疹をいいます。
頭皮湿疹は薄毛になりやすい!?
頭皮の湿疹が
薄毛に関係があるのか心配、
という方も多いと思われます。
これについては、
直接湿疹が薄毛を
引き起こすわけではありませんが、
薄毛の方はなんらかの
頭皮トラブルを抱えていることが
多いのも事実です。
皮脂の過剰分泌で抜け毛が増える
特に脂漏性湿疹から、
抜け毛が増えてしまう
脱毛症を起すことがあります。
これを脂漏性脱毛症と呼びますが、
原因は頭皮の表面に生息する
カビの一種、マラセチア菌の
異常な繁殖です。
この菌は皮脂と水分のバランスが
安定していれば問題はないのですが、
皮脂量が増える時が要注意なのです。
マラセチア菌が皮脂汚れや汗を
エサに増殖する際に、
かゆみや炎症、
皮脂が酸化したニオイを発し、
抜け毛を進ませることもあります
湿疹が頭皮にあって、
フケや抜け毛がひどく目立つ場合には、
脂漏性脱毛症を疑ってみましょう。
皮膚科では、主に
マラセチア菌の働きを抑える
外用薬の「抗真菌薬」が処方されます。
またかゆみが強く、
皮脂分泌量も多い場合には、
抗生物質、ビタミンB2やB6の錠剤、
保湿ローションなどで
適切な処方を行います。
皮膚のことは皮膚科へご相談を!
もし頭皮湿疹になってしまったら、
早めに皮膚科クリニックを受診しましょう。
シャンプーを変えたり、
市販のお薬を使ったりする
自宅ケアでは、
症状が軽減しないことが多く見られます。
残念なことに市販薬では
マラセチア菌を減らすことはできません。
でも皮膚科を受診していただけば、
ステロイド外用薬や、
マラセチア菌や黄色ブドウ球菌に
対処する塗り薬や、
シャンプーの処方で
湿疹や炎症を抑えることもできます。
湿疹が起こった原因によっては
自分でできる対処には限界があるため、
悪化すると治療期間も長びくことに!
不快な気分になって
日々の生活にまで支障をきたす前に、
頭皮の異変に気づいた段階で
受診することをおすすめします。
- 監修
大西 勝 院長
医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院
国立香川医科大学医学部卒業後、京都大学付属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科、社会保険広島市民病院、 角谷整形外科病院、冨士森形成外科医院を経て、平成9年より大西皮フ科形成外科医院を開業。